日本製鉄は去年12月、米国の大手鉄鋼メーカー「USスチール」を買収することで両社で合意したが、鉄鋼業界の労働組合が反対している。さらにハリス副大統領が買収に否定的な考えを明らかにしたほか、トランプ前大統領も買収を認めない考えを示していて、ことし11月の大統領選挙に向けた思惑が絡む状況となっている。こうした中、日本製鉄は買収が完了したあとのUSスチールの経営体制の方針を公表し、取締役の過半数を米国国籍とすることや経営陣の中枢メンバーを米国国籍とすることを明らかにした。また、日本製鉄が米国国外から鉄鋼製品を流入させるのではないかという懸念も出ていることから、会社ではUSスチールが国内生産した製品を優先する方針を示している。日本製鉄は先月、現地の製鉄所に日本円で1800億円以上の追加投資を行う計画も明らかにしていて、こうした方針を示し買収への理解を得るねらいがあるとみられる。日本製鉄は、「公正かつ客観的な規制当局の審査においてこの買収がもたらす効果が支持され、買収が早期に完了することを期待している」とコメントしている。