160年前まで花粉症は憧れの病で、くしゃみは「神の祝福」と言われた。労働者はほとんどがかかることがなく、患者の大半は裕福な貴族だった。貴族であることを神が認めた証としてステータスになっていた。医師のブラックレイはカモガヤというイネ科の植物を触ったことで、花粉が原因であると推理した。この時代、産業革命で織物のスピードがアップしたが、原料の羊毛がもっと必要となり牧草の需要も急増した。その牧草がカモガヤだった。それまで貴族の住まい周辺にはなかったイネ科の牧草で、貴族は花粉に触れる機会が増えた。ブラックレイは約80種類の植物を用意して自らで人体実験をして花粉症になることに成功した。労働者はもともと牧草地の近くに住んでいたので花粉に慣れていて反応が鈍かった。症状が軽ければ病院に行かないことも多く、一過性の風邪と思い込み放置していた。日本で花粉症は40年前に広まった。戦後に国策で杉を植林した結果、花粉の飛散量が増えたからと言われている。