身近な様々なものの値上げが続く中で、大手ビールメーカー4社にカルテルの疑い。値上げの幅や時期などを事前に示し合わせていた疑いがあるとして、公正取引委員会はきょう強制調査に乗り出した。関係者への取材で見えてきたのは、裏会という会合の存在。強制調査はアサヒビール、キリンビール、サッポロビール、サントリーの4社が受けている。容疑は独占禁止法違反の疑い。公正取引委員会が国民生活に広く影響を及ぼし、悪質かつ重大だと判断した事案を対象に行う「犯則調査」と呼ばれるもの。関係者によると4社は、ビールを卸業者に出荷する際の「生産者価格」について、値上げの幅などを示し合わせるカルテルを結んだ疑いがあるという。生産者価格が上昇すれば卸売価格と小売価格にもその分が転嫁され、消費者に影響が及ぶことになる。市場規模1兆円を超える国産ビールは、強制調査を受けた4社で9割以上のシェアを占める。価格調整はどのように行われたのか。関係者によると、4社はいずれも東京・銀座に事務所を置く「ビール酒造組合」の組合員で、組合では月に1度、第一木曜日を目処に「一木会」という会合を開いていた。会合が終わり他のメーカーなどが退席すると、4社の課長や部長クラスだけが残って非公式な「裏会」を開催。そこで値上げ幅や時期について調整していたとみられている。話し合った内容は各社に持ち帰り、次の会合でさらにすり合わせを進める形で何度も会合を重ね、合意が形成されていったとみられている。公正取引委員会は、こうした調整の結果が4社の社内でどこまで共有されていたのかについても、調べるものとみられる。4社が製造する一般的な缶ビールの価格(350ミリリットル)を、東京・渋谷区の3系列のコンビニで調査した。4社とも価格の差は10円前後におさまっている。いずれの店舗でもほぼ横並びの価格で販売されていた。ビールをめぐっては2020年以降、酒税の引き下げと原材料費の高騰などを理由とした値上げが交互に行われる形で、価格が推移してきた。消費者が店頭で購入する小売価格の平均価格の推移を示したグラフを紹介。注目したいのが、平均株価が上昇した2022年と去年。4社は原材料価格の高騰などを理由に同時に値上げに踏み切った。また値上げを公表した時期も近接していた。去年の出荷分からの値上げの際は、1社が発表してから1か月余の間に3社も値上げを発表した。犯則調査は一般の立ち入り検査とは異なり、捜索や証拠の差し押さえが認められていて、検事総長に刑事告発することを視野に調べが進められる。犯則調査は去年9月にも、軽油販売をめぐるカルテルの疑いで行われたが、飲食料品をめぐる犯則調査は初めてだという。
