この映画は、耳の聞こえない両親のもとで育った子ども「コーダ」である主人公・五十嵐大の誕生から、成長や親とのあつれきなど20年余りの人生を描いている。呉監督は、コーダは、社会のなかではマイノリティだが、この物語は普遍的で、多くの人に共感してもらえる話ではないかと思い、産後の復帰作にしたいとオファーを受けたなどと話した。監督は、印象に残ったシーンとして、思春期の大が母親に感情をぶつけるシーンを挙げ、最初は手話だけで、だんだん言葉に感情がこぼれてきて、手話がぐちゃぐちゃになる、映画の中で丁寧に描きたいと思ったシーンだったなどと話した。映画では、ろうの役をろうの当事者が演じている。監督は、ろう者に取材すると、聴者がろう者を演じることには、ネイティブの英語を話す人が片言の日本語を話しながら生粋の日本人だと言うくらい違和感があると知り、この作品では、その人の手話を使ってもらいたいと思ったなどと話した。大を演じる吉沢亮について、監督は、努力の人、実際にコーダの人にも監修に入ってもらいながら、手話を習得してもらったなどと話した。監督は、手話については、演出という立場で実際のろう者の人に入ってもらうなど、手話チームが総勢8人ほどいて、時間をかけてコミュニケーションをとりながら、丁寧に作っていったなどと話した。監督は、2人の子どもの育児と製作を両立するのが大変だったが、現場ではスタッフと、家では家族と一丸になってみんなで作り上げた、映画界で、現役の監督で子育てと両立している人はなかなかいないから、自分がまずチャレンジすることもテーマだったなどと話した。