2024年2月10日、リハビリ専門の病院に転院していたフジコはつらいリハビリが続いていた。フジコとコンサートを行うはずだったバスコ氏は、フジコが良くなるよう祈りを込めてパガニーニゆかりのサン・フィリッポ・ネリ教会でラ・カンパネラを演奏した。フジコはパガニーニの曲を元にリストが作ったピアノ曲をパガニーニの生地で演奏したいと考えていた。リハビリを兼ねて病院1階にあるピアノの前に座ったフジコは、幼いころから親しんでいたモーツァルトのピアノソナタを弾いたが自らピアノのふたを閉じた。この日がフジコがピアノに触れた最後の日となった。