AIを活用した創薬の最前線を取材。AIは思いもよらぬ薬の候補を示すこともある。大手製薬会社・志鷹義嗣専務担当役員に、臨床試験が行われている薬の候補を見せてもらう。AIを使って開発した「ASP5502」で、国の指定難病「シェーグレン症候群」の治療薬の候補。シェーグレン症候群は舌や目が乾燥するなどの症状が現れ、国内で少なくとも7万人の患者がいると推計されている。会社ではこの病気の働きを抑える薬の候補をAIに考えてもらったところ、6万種類もの「薬の候補」を提案。「効果」や「安全性」などの指標をスコア化し、評価が高い順にランキング形式で示した。中には、研究者のこれまでの経験では有力候補になりえないものも上位に。研究者は上位の候補を実際に作り、データを収集。これまでの経験と合わせて、コストや製造過程などを検証した。こうして選ばれたのが「ASP5502」。今ではどの研究者もAIを活用していて、さらなる治療薬の開発を進めていきたいとしている。