シフィドニツァの平和教会は建物だけでなく装飾もすべて木で作られている。木造ということで、手入れが欠かせない。360年以上前の創建時の技法を頑なに守っている。17世紀、キリスト教の宗派対立から始まった三十年戦争にヨーロッパは苦しんだ。カトリックとプロテスタントが激しくぶつかり合い、数百万人もの死者が出た。終結後、カトリックの治めるシフィドニツァでは元々プロテスタントが多かったことから、様々な制約を条件に特別にプロテスタントの教会を作ることが許された。新しい教会を作る場所は町の城壁の外と定められた。教会のシンボルである塔も建てることが禁じられた。与えられた建築機関は1年以内、石やレンガなど耐久性のあるものは一切使わず木材と土壁で作ること。そんな困難な条件を押し付けることでプロテスタントを押さえつけようとした。資金は信者たちからの寄付など。悪条件に屈することなく手に入れた教会には3900本のパイプがあるオルガンも置かれた。