兵庫県の北部に位置する香美町の山間には昔ながらの棚田が今も残っている。さらにその奥へ入った標高600mを越える山中に「たじま高原植物園」がある。兵庫県の観光名所で第1位に選ばれたこともあり、印象派の絵のような美しさが魅力。シラネアオイやニリンソウなど日本を代表する里山の花が咲いている。園内には人が植えた植物はほとんどなく、元からあったものを手入れしている。里山で行われている草刈りや枝落としと同じように手入れすることで自然と同じ美しい風景を作っている。園の一番奥にあるカツラの根本には湧き水が流れている。水量は1日に約5000トン。古くから人々の暮らしにも利用されてきた。植物園はこの水源を囲むように造られた。この水は日本だけに住むモリアオガエルなど多くの生き物も育んでいる。カツラの根本から続く農業用水路は江戸時代に造られ、農家の人々が年に数回手入れをしている。植物の手入れを指導する田丸さんは植物園が里山の一部であり続けてほしいと願っている。