先月、東京で国際平和映像祭が開催された。映像祭に参加した古賀野々華さんが制作したのは広島の被爆者の証言ドキュメンタリー。原爆の痛みは長く続くということを描いた。今回、対話の中で何か平和への道を見いだしたいという。海外から来日して映像祭に参加した学生もいる。ドイツ出身の大学生、ジェイコブオスマンさん。ジェイコブさんが描いたのは亡くなった祖父との思い出。ナチスの党員だったという祖父がその過去を一切語らなかったこと。そして自分もそのことについて聞けなかった後悔を描いた。ジェイコブさんは今のイスラエルとハマスの戦闘についても語る難しさを感じている。それでも対話の場では自分のことばで語りたいという思いを抱いていた。先月中旬、学生の監督たちの対話の場が設けられた。参加者の中にはイスラエルから来日した若者も。ライラさんはイスラエルとハマスの戦闘と隣り合わせの生活を送っている。戦闘が国などの大きな単位で語られる中、個人の思いを聞いてほしいと参加した。対話が始まるとドイツのジェイコブさんが自国の空気について話し始めた。1時間がたったころ戦火が絶えない今の状況が話題になったときのことだった。ライラさんは同世代の親友がハマスの人質となったのちガザ地区で亡くなったことを語った。沈黙を破ったのはジェイコブさんだった。ジェイコブさんは心を開いて傷つきやすくなること、耳を傾けて分かち合うことが平和なんだと思うと話した。