生成AIを使って無断で作られた音声(TikTokより)を紹介。人気歌手やキャラクターにそっくりな声で好きな歌を歌わせるAIカバーと呼ばれる動画。インターネットに投稿されるケースが今、急増している。声優たちは危機感を強めている。声優・梶裕貴さんは「声の権利問題は無法地帯」などと語った。
AIカバーと呼ばれる動画の1つが、人気歌手の声をAIを使って無断で再現し別の歌手の曲を歌わせているもの(TikTokより)。こうした動画の実態について、声優などが加盟する日本俳優連合が去年12月からことし2月にかけて調査したところ、少なくとも267人の声が無断で利用されていたことが分かった。AIカバーと呼ばれる動画はどうして広がっているのか。権利の問題に詳しい専門家によると、理由として考えられるのが、1つが誰でもAIを使って簡単に音声変換が可能になったこと。さらに、そもそも声は著作物ではないため権利が確立されていないこと。つまり、これらの動画は現状、違法かどうか明確になっていない。ただ、無断で声を利用された側は強い懸念を抱いている。日本俳優連合がSNSに投稿した声明には、「無断で声優等の声を利用した生成AIに強い危機感を持っている。#NOMORE無断生成AI」とある。この投稿は1100万回以上閲覧された。その日本俳優連合に詳しく話を聞いた。日本俳優連合専務理事・池水通洋さんは、みずからも数々のキャラクターを演じてきたベテラン声優。急速に進化する生成AIによる音声動画に危機感を強めている。無断利用を少しでも減らそうと日本俳優連合が参加しようとしているプロジェクトがある。AIに学ばせる音声データを認証しようという取り組み。プロジェクトでは、声優や歌手は音声データの使用条件などの情報を認証団体に登録するなど仕組みを説明した。AILAS代表理事・倉田宣典さんは、ラベルを発行してもらえればフェアなトレードをしていると伝わると語っていた。
声の権利を巡る問題は海外でも起きている。生成AI・ChatGPTの音声で対話ができる機能について、俳優のスカーレットヨハンソンさんが自分の声に不気味なほど似ているとして抗議した。その結果、開発側は意図的にまねたわけではないとしたうえで、音声機能の一部を停止する措置を取った。声の権利については日本を含めたほとんどの国でまだ十分には確立されていない。権利の問題に詳しい弁護士の福井健策さんによると、著名人にはその知名度を悪用される可能性があるため、名前や写真などを守るパブリシティ権という権利があり、福井さんは声にも認められる可能性があると考えている。ただ、この権利を巡って国内で法的に争われたことはない。また政府は、先月公表した新たなクールジャパン戦略の中で声の生成AI利用に関して、関連法について法的考え方の整理などを行うとしている。こうした中、独自の方法で声優や歌手の声の権利を守る新たなコンテンツを生み出そうという試みも始まっている。
AIカバーと呼ばれる動画の1つが、人気歌手の声をAIを使って無断で再現し別の歌手の曲を歌わせているもの(TikTokより)。こうした動画の実態について、声優などが加盟する日本俳優連合が去年12月からことし2月にかけて調査したところ、少なくとも267人の声が無断で利用されていたことが分かった。AIカバーと呼ばれる動画はどうして広がっているのか。権利の問題に詳しい専門家によると、理由として考えられるのが、1つが誰でもAIを使って簡単に音声変換が可能になったこと。さらに、そもそも声は著作物ではないため権利が確立されていないこと。つまり、これらの動画は現状、違法かどうか明確になっていない。ただ、無断で声を利用された側は強い懸念を抱いている。日本俳優連合がSNSに投稿した声明には、「無断で声優等の声を利用した生成AIに強い危機感を持っている。#NOMORE無断生成AI」とある。この投稿は1100万回以上閲覧された。その日本俳優連合に詳しく話を聞いた。日本俳優連合専務理事・池水通洋さんは、みずからも数々のキャラクターを演じてきたベテラン声優。急速に進化する生成AIによる音声動画に危機感を強めている。無断利用を少しでも減らそうと日本俳優連合が参加しようとしているプロジェクトがある。AIに学ばせる音声データを認証しようという取り組み。プロジェクトでは、声優や歌手は音声データの使用条件などの情報を認証団体に登録するなど仕組みを説明した。AILAS代表理事・倉田宣典さんは、ラベルを発行してもらえればフェアなトレードをしていると伝わると語っていた。
声の権利を巡る問題は海外でも起きている。生成AI・ChatGPTの音声で対話ができる機能について、俳優のスカーレットヨハンソンさんが自分の声に不気味なほど似ているとして抗議した。その結果、開発側は意図的にまねたわけではないとしたうえで、音声機能の一部を停止する措置を取った。声の権利については日本を含めたほとんどの国でまだ十分には確立されていない。権利の問題に詳しい弁護士の福井健策さんによると、著名人にはその知名度を悪用される可能性があるため、名前や写真などを守るパブリシティ権という権利があり、福井さんは声にも認められる可能性があると考えている。ただ、この権利を巡って国内で法的に争われたことはない。また政府は、先月公表した新たなクールジャパン戦略の中で声の生成AI利用に関して、関連法について法的考え方の整理などを行うとしている。こうした中、独自の方法で声優や歌手の声の権利を守る新たなコンテンツを生み出そうという試みも始まっている。