1989年2月24日、ユナイテッド航空811便は午前1時25分、ハワイ・ホノルル国際空港を離陸。ニュージーランドを経由しオーストラリア・シドニー国際空港を目指していた。機長はデヴィッド・クローニン。30年以上のキャリアを持つ熟練パイロット。数カ月後に定年退職を控えていた。副操縦士はグレゴリー・スレーダー。航空機関士のランダル・トーマスが補佐する。他に客室乗務員が15人、乗客337人、合計355人が搭乗していた。乗客の中には休暇を取っていたユナイテッド航空の客室乗務員、レオナルドの姿もあった。離陸から17分後、太平洋の上空で前方に雷雨を伴う分厚い雲を発見。雷雨の影響で機体が揺れる恐れがあるため、シートベルト着用のサインを点灯。811便は悪天候の空域を避けるため迂回した。機体の右側に凄まじい衝撃が。突然、3番エンジンの出力が低下した。客室はパニックになり、機内の酸素は薄くなっていた。なぜか酸素マスクに酸素が供給されなかった。