ロシアでは侵攻反対で訴追さるなどしたケースが900件以上。プーチ・ダモイのメンバーたちは無名戦士の墓を訪れ無言の抗議を行ってきた。メンバーのマリア・アンドレエワさんは夫が軍に動員された。2歳の娘と暮らすアンドレエワさん、半年との約束は守られなかった。去年9月、同じ境遇の女性たちと動員兵を一定期間で交代を求める活動をはじめた。要求が聞き入れられない中、動画を公開し、民間人の動員そのものの見直し、動員兵の権利の尊重を訴えた。SNSの登録者数は6万人を超えた。クセニア・ワラビヨーワさんは夫は持病があるが十分な検査を受けることなく軍におくられたという。2月、ロシア側の死傷者数は1日平均983人。ワラビヨーワさんは夫がその最前線で戦っていることにやりきれない気持ちを抱えている。アンドレエワさんたちは軍事作戦の中止も求めている。プーチン大統領の選挙事務所を訪れたときは激しい口論となった。この日、アンドレエワさんはモスクワ中心部で抗議活動をしていたところ、警察にその場から排除されが拘束はされなかった。兵士の妻に当局は手荒なことはできないのだという。政治学者のエカテリーナ・シュリマンさんはプーチン大統領自身がこれまで家族の絆を強調してきたことに注目している。家族を返してと訴えるプーチ・ダモイを弾圧すれば政権の矛盾が明るみになると指摘する。女性たちの正当な要求は市民も共感しやすく政権にとって無視できない危険性をはらんでいるという。
プーチ・ダモイの活動は従来の反戦の訴えに限界を感じてきた人たちにも注目されている。ダリア・セレンコさんはロシアからジョージアに逃れ、侵攻を批判してきた。新聞でプーチ・ダモイの活動を紹介している。セレンコさんたち反戦を訴える人たちは、スパイを意味する外国の代理人に指定され、国民の裏切り者というレッテルを貼られてきた。プーチ・ダモイでこの戦争がいかに国民に負担を強いるか伝えることができると考えている。プーチン政権は国家に尽くすことこそが家族の役割だと訴えている。家族は国家に尽くすべきという考えは一般家庭にも広く浸透している。マリーナ・マトベエワさんは軍事作戦は自衛のためだと考えていて、ボランティアとして兵士の整備品を作っている。マトベエワさんには孫がいる。将来、必要なときは祖国を守るために行動してほしいと伝えている。夫を返してほしいと訴えてきたアンドレエワさんは今さらなる圧力にさらされている。自宅に当局者が現れ、活動をやめるよう警告を受けるようになった。それでもアンドレエワさんは大統領選でプーチン氏以外に投票した。