米国の雇用統計が発表された。去年12月の非農業部門雇用者数の伸びは25万6000人の増加で11月から伸びが加速し2か月連続で20万人を超えた。ハリケーンやストライキの影響を受けて大幅に減速した10月から回復が続いている。失業率は4.1%と前の月から改善した。平均時給は1年前から3.9%の上昇で、前の月からは減速したものの底堅く推移している。このところの経済指標に加えて今回の雇用統計で景気の堅調さが改めて示されたため、今月は利下げが見送られることが確実視されている。さらに、まだ1月なのに年内の利下げはもう行われないとみる市場関係者もいる。8日に公開された去年12月のFOMC議事要旨では、トランプ次期大統領の移民政策や関税政策によるインフレ率の上ぶれを警戒する声が上がり、今後の政策を慎重に進める方針が示されていたことが分かった。今後の高インフレ再燃への懸念からFRBのボウマン理事は9日の講演で、12月の利下げについて金融政策緩和の最終段階との認識を示した。当面はFRBも市場もまずはトランプ新政権の出方を見極めるという局面になりそう。