ノーベル文学賞の受賞が決まった韓国・ハンガン氏は1970年生まれの53歳。父親も著名な小説家で、小さい頃より影響を受け時事通信によると1993年に詩作により文壇デビューした。朝日新聞によると代表作には、2014年には軍が市民を武力弾圧した光州事件を題材にした「少年が来る」。2016年には世界的権威のある文学賞である英国のブッカー賞を受賞した「菜食主義者」があり、受賞はアジアの作家で初めて。2021年米国軍政下の済州島で48年に起きた民衆を弾圧した済州島四三事件をテーマにした「別れを告げない」などがある。今回、選んだ理由についてスウェーデンアカデミーは「歴史的なトラウマに立ち向かい、人間の命のはかなさを表現した強烈な散文だ」と評価している。ハンガン氏の作風について文芸評論家・三宅香帆は「傷付いた人や虐げられた人々を描くのがうまく心の痛みの描写には胸に迫る迫力がある。目を背けたくなるような韓国の負の歴史を多くの作品で描いているが批判や政治的なメッセージではなく、傷付いた人の歴史を忘れないというメッセージが込められている」という。