若生は1954年に大阪で生まれた。動物園に興味をもったきっかけは小学校3年の時に店で手にした一冊の本。ドイツに画期的な動物園を作ったカール・ハーゲンベックの生涯を描いた漫画を手にした。ハーゲンベックは、肉食動物と草食動物が同じ空間にいるようにみえるパノラマ展示を考案した。若生はこの本で動物園に興味をもったという。ハーゲンベックの動物園はイギリス風景式庭園で培われてきたハハーという技法を応用している。柵の代わりに堀を作って外からの動物の侵入を防ぎながら庭園と外の空間を連続した景観にみせるという造園のワザ。大学で造園を学び、動物園づくりは造園だと気付いた若生は動物園の研究にのめり込んでいった。転機が訪れたのは1987年、新たな展示を模索していた大阪の天王寺動物園から依頼をうけた。