厚生労働省によると欧米で承認されながら日本で未承認の品目は143品目。このうち86品目は、開発の計画すらなく4割が子供用の新薬。海外で開発された新薬をいち早く日本で使用する方法として国際共同治験がある。承認前の治験に日本を加えてもらうことで日本での臨床試験が可能になる。しかし壁があり、市場が小さくて開発されにくい薬では日本人のために追加の試験を行うことが企業にとってはハードルになってしまうという。その結果国際共同治験に日本が参加しにくくなる。その治験に日本も参加させてほしいと高橋さんもイタリアにとんだ。CAR-T細胞療法のうち白血病むけのものは高橋さんが日本で臨床試験をすすめている。しかし承認を得るのに必要な症例数が足りていない。試験を拡大するための費用を日本政府に申請することにした。イタリアに来た理由の一つに久保田ちひろちゃんの経過を確かめること。神経芽腫向けのCAR-T細胞を投与して五日目、ちひろちゃんは高熱が続いていた。発熱はCAR-T細胞がガンを攻撃しているものによるもので効果が出ている証。フランコ・ロカデリさんはバンビーノ・ジェス病院でCAR-T細胞療法の研究を指揮している。今後ヨーロッパの国々にイスラエルやカナダを加え治験を進める計画があると明かした。日本も治験に加われるように検討してくれるという。4月、高橋さんが日本政府に申請していた白血病向けの研究費が認められ、今後治験として白血病患者にCAR-T細胞を投与することを目指す。イタリアで神経芽腫の治療を続けるちひろちゃんが退院しがん細胞が確認できなくなる程度まで回復していた。