イタリア・ローマにあるファーテベネフラッテリ病院。ここには第二次世界大戦のときの謎の感染症にかかったユダヤ人たちが収容されていた。感染症の名は「K症候群」。K症候群はナチス・ドイツ軍をあざむくために医師がでっち上げた架空の感染症だった。1940年、イタリアはドイツと協定を結び第二次世界大戦に参戦。1943年9月、連合国軍がイタリア本土に侵攻するとイタリアは無条件降伏。ドイツはイタリアの降伏を裏切りとみなし、ローマを占領。その目的の1つはユダヤ人の排除だった。ユダヤ人は悲鳴を上げながら必死に逃げ回っていた。ユダヤ人だけではなくイタリア人をも弾圧し始めた。イタリア人医師・オッシチーニはナチス親衛隊に拘束された。1日に1000人以上のユダヤ人がアウシュヴィッツ強制収容所に送り込まれ虐殺されてしまった。ファーテベネフラッテリ病院にユダヤ人たちが駆け込んできた。ユダヤ人医師のサチェルドーティはローマの病院に勤務していたが差別を受け解雇。ファーテベネフラッテリ病院に雇ってもらった。ファーテベネフラッテリ病院はローマ市内にあったが、運営は独立国家のバチカン市国だったためドイツ軍の監視が緩かった。サチェルドーティと病院長・ボッロメオ、オッシチーニはユダヤ人を感染症患者として入院させドイツ軍から守ろうとした。K症候群のKはドイツ軍の司令官ケッセルリンクとユダヤ人一斉検挙の指揮をしたカプラーの頭文字をとったもの。K症候群は嘔吐や発熱が続き、神経が蝕まれ、数日のうちに死ぬ。感染力は極めて強いとした。ドイツ軍は病院を視察しにくることはあったが隔離病棟には入ろうとしなかった。しかしあっという間に病院が埋まってしまった。そこで、ボッロメはユダヤ人ではないという偽の身分証明書を作り、教会や修道院に避難させた。ある日、ドイツ軍は怪しんで病院へやって来た。