世界で紛争が相次ぐ中、命を救う最後の砦となる医療従事者たち。危険と隣り合わせの現地で安全に活動するため、特別な訓練に取り組む彼らを取材した。各国の赤十字赤新月社の職員が参加する危険地での医療・人道支援活動を想定した訓練。ハンガリー軍の協力の下、本物の銃の発砲や地雷爆破の実演、銃撃の中でどう行動するかなど起こりうる過酷な状況を再現する。日本から参加した医師・松田圭央さん。福岡の病院で外科医として勤務する松田さんだが、元々紛争地での活動は考えていなかったという。転機になったのは2023年のレバノンへの派遣。技術指導をしたパレスチナ赤新月社の病院では、スタッフのほとんどが現地の難民キャンプで生まれたパレスチナ難民だった。松田さんは「私ももしかしたらここに生まれたかもしれない。もう少しパレスチナのことを知らないといけないと思った」などと話す。しかし、その後、ガザ地区での戦闘がレバノンに飛び火し、松田さんらは急遽帰国。この時以来、紛争地での活動を意識しているという。一方、紛争地では近年、医療施設への攻撃が急増。犠牲となった医療などの支援従事者は去年だけで350人。命のリスクがある現場で安全をいかに確保するのか。去年、紛争地を含む海外に国際要員58人を派遣した日本赤十字社。派遣を希望する職員は安全管理研修を受講する。和歌山医療センター医師・宗田桃子さんは海外派遣の経験はないが、子供の頃から紛争地での医療活動に関心があったという。いかに活動の前提となる安全を確保し支援を届けるか。簡単ではない問いにそれぞれが向き合い続ける。
