米国大統領選挙まであと1か月に迫る中、これまで民主党候補への支持が強かったヒスパニック系の人々にある異変が起きている。大統領選の激戦州の1つ東部のペンシルベニア州。ヘーズルトンはおよそ3万人の住民のうち6割がヒスパニック系の移民の街。20年前までは95％が白人だったが、大手ネット通販企業が進出して以降、倉庫などで働くためヒスパニック系移民が多く移り住んだ。この街で40年以上、薬局を営む男性も複雑な思いをのぞかせる。「移民たちは自分たちの生活インフラ、レストランや食料品店を街に持ち込みました」と述べ、移民の中には英語を学ばない人もいて、街に溶け込もうとしていないと感じている。大統領選では、国境管理の強化を訴えるトランプ氏に投票する予定。そして、移民としてやってきたヒスパニック系の人たちにもトランプ氏の支持者が少なくない。ヒスパニック系はもともと多様性を重視する民主党への支持が多かったが、世論調査ではトランプ氏への支持が4年前に比べて大きく伸びている。メキシコ料理店を営む夫婦は、バイデン政権のもとで長く続いた物価高で生活が苦しくなったと強い不満を口にする。物価高が続いて生活が厳しさを増す中、ヒスパニック系住民たちの間には“新たな移民が来れば仕事を奪われるかもしれない”という不安が広がっている。意識が変わりつつあるヒスパニック系の人々、その票をどちらの陣営が取り込めるのか。あと1か月しれつな奪い合いが続く。