焼肉店に行ってから4日目、これまでにない腹痛が二男を襲い、症状は長男と父にも。二男は血便が出たことで、すぐに総合病院を受診。詳しい検査をすると腸管出血性大腸菌が検出された。腸管出血性大腸菌は主に牛の腸管内に生息し、牛の体表などにも付着している菌。産生するベロ毒素は青酸カリの数千倍という毒性でヒトの大腸をただれさせる。一家が症状を起こした原因は和牛ユッケ。生肉を細切りして食べるいわば“肉の刺し身”のユッケは当時はどこでも食べられる人気メニューで、この店でもユッケは人気で来店者の多くが食べていた。その生肉のユッケに腸管出血性大腸菌が付着していた。牛を処理する際に腸の内容物が食肉を汚染しないよう細心の注意を払って処理されるが、菌の汚染を完全になくすことは難しいという。一方で、この菌は熱に弱く75度で1分以上加熱すると完全に死滅するため通常の焼肉ならば問題はない。生肉のユッケを提供する際は、菌が付着しているかもしれない表面をトリミングと呼ばれる手法で切り落とし、菌を除去していた。トリミングは通常店側が行うが、焼肉酒屋えびすでは卸業者が行っているとして店舗でのトリミングは行っていなかった。一方、その卸業者でも生食用は作っていないとしてトリミングを行っていなかった。二男から菌が検出された家族が検査を受けると、全員から菌が検出された。