多くの人からインドで大飢饉があったことを知らなかった。なぜ語り継がれてこなかったのか。大飢饉の責任を問われることを恐れたイギリス当局が、当時、報道規制を敷いていた。ベンガル地方を統治していた地元の政党も、積極的に声を上げようとしなかったため、広く知られることがなかった。インドがイギリスから独立した際、ベンガル地方は、インドとバングラデシュに分割され、その混乱の中で、大飢饉の事実が埋もれた。そもそもイギリス政府は、飢饉の責任について、公式な立場を示していない。1970年代以降、学術的に注目されるようになった。依然として市民レベルの取り組みに留まっている。ベンガル地方の人たちが貧困状態にあった社会的構造が背景にある。ジャワハルラル・ネルー大学の准教授は、ベンガル大飢饉では商品が並ぶ食料品店の前で人々が死亡している奇妙な光景が見られたという。犠牲になった人々はどんなに安くても食料を買えなかったという。都市部の貧しい労働者は、市場に僅かな食料が流通していたとしても買うことができなかった。ガザ地区やミャンマーなどでは苦境にいる人たちが犠牲になっている。戦争は二度と繰り返されるべきではない。ベンガル大飢饉の教訓を忘れるべきではない。