東京都内にある、明治安田生命保険の内幸町営業所。この道、30年以上のベテラン営業職員の鈴木さんは朝礼後、担当する営業先に向かった。保険の営業は企業や個人宅を回り客に合った保険商品を提案して契約を取る仕事。この日も保険に加入した客のフォローなどのため30年通っているという銀行を訪ねた。営業所に帰ってきた鈴木さんは自分の席でスマホに向かって何かをしゃべり始めた。これは明治安田が去年10月に導入したAI秘書「MYパレット」。顧客の人となり、趣味や生い立ちなどあらゆる情報を管理するアプリでその日、誕生日を迎える客もAIが教えてくれる。1人で何百人という顧客に対応している鈴木さんにはこれまで情報はノートで管理していたため机の中もいっぱいになっていた。明治安田はこうしたAI秘書を営業職員およそ3万7000人に導入。この秋、さらに細かい営業の提案をAIができるようアップデートしている。今年4月に新設した部署デジタルイノベーションHub。大手コンサルティング会社のアクセンチュアからおよそ100人を受け入れ合わせて200人という、業界でも最大級の体制で開発に当たっている。今年度中に営業職員だけでほぼすべての社員が、AI秘書を使えるように開発中。導入を推進する永島社長は「事務やシステムの分野でAIを使っていきたい」と話していた。
