激しいめまいと吐き気を訴える55歳男性。めまいの原因を松井先生が探る。まずは耳の聴力に問題はないか確認。突発性難聴などを発症した場合、めまいを伴うことがあるが、聴力に問題はない。続いて脳に異常がないかの検査。脳梗塞などで脳が傷つき、平衡感覚を司る部分がうまく働かなくなるとめまいを感じることがあるそうだが、聴力の低下や脳梗塞の傾向は見られなかった。しかし安静にしているということから松井先生は医療器具としては見慣れないゴーグルを取り出した。患者は装着すると目の前が真っ暗になる。その状態で眼球がどのように動くかを医師がチェック。すると健康な人の場合、視線は一定方向に固定されるが、この患者の場合左右に移動する症状が見られた。考えられる原因が耳の内耳からくるめまい。松井先生は謎のめまいの原因にたどり着いた。実はこの眼球の痙攣を伴うめまいは耳の奥の方にある三半規管の異常によって起こる症状。その異常を引き起こすのが「耳石」という聞き慣れないもの。耳石とは人間の耳の中にある石のような粒で、重力や体の方向を感知する働きがある。その耳石が離れ、平衡感覚を司る三半規管に入り込みコロコロ動くとめまいが起きてしまう。耳石によるめまいの特徴は安静にしていれば石が動かず症状が軽くなるということ。症状が和らいだ男性はその日のうちに帰宅。後日耳鼻科で詳しい検査をすることになった。