- 出演者
- 東野幸治 草野仁 赤江珠緒
外国人で賑わう東京駅、今年に入って日本を訪れた外国人の数は過去最多の1814万人。日本を旅する上で拠点となるのが東京駅、そこに体調を崩した外国人が駆け込むクリニックがある。
東京駅にある外国人が駆け込む「東京ステーション インターナショナルクリニック」。ある日、のどの調子が悪いというアメリカに住む男性が訪れた。来日後に咳とたんの症状が2週間以上続いているそう。診察の結果、肺炎が考えられるとのこと。男性は「仕事で明日歌わないといけない」と話し、男性は有名なハワイアンミュージックの歌手だった。提携する病院で肺のレントゲンを撮ることに。検査の結果、軽度の肺炎で薬で回復し医師の出演許可が出たため無事フェスで男性は歌うことができた。
東京駅にある「東京ステーション インターナショナルクリニック」は約1年半前に開院したばかりだが、これまでに診察した外国人患者は1万3000人以上。スタッフ全員が英語や中国語に対応可能。365日断らないをポリシーに診察を行っているそう。
東京駅のクリニックに密着。英会話教室の講師の女性は通勤途中に約30秒間失神したという。失神とは一時的に脳への血流が減少し、意識を失う状態のことで、心臓や神経の病気などが隠れていることもある。脳の神経を検査すると問題はない。以前に心拍の乱れを医師から指摘されたことがあるという。病名は起立性調節障害だとした。起立性調節障害は立っているときに脳や上半身の血流が低下し、めまいやたちくらみ、失神などが現れる病気。精神的ストレスやホルモンバランスなどが原因。めまいを和らげる薬を5日分処方した。
東京ステーションインターナショナルクリニックの金川修造先生は医師歴45年。20か国以上で診療し、外国人診療のスペシャリスト。感染症SARSの治療にも参加。金川先生が診療の現場で大切にしてきたことは、子どもの治療。
台湾からやってきてた4人家族、昨夜1歳半の次男が高熱を出したという。インフルエンザ検査をする。泣いてしまった子どもに金川先生は恐竜のシールをプレゼント。インフルエンザ検査の結果は陰性でかぜ薬を処方した。
オーストラリアからやってきた50代男性は日本各地を旅行してきた。3日前から頭に発疹ができ、激しいかゆみと傷みがあるという。男性は5日前に温泉を満喫し、その成分ではないかと考えていた。田陽先生は発疹ができているのは頭の右側だけだと気づいた。病名は帯状ほうしんと診断。帯状ほうしんは体の神経に潜み続けている水ぼうそうのウイルスが原因で、免疫力低下などで活発化し、発疹や激しい傷みが出る。神経は身体の中心から左右に分かれて伸びているため、右側の神経にウイルスがいた場合、右半身のみに症状が起こる。ウイルスが目や耳の神経に侵入すると視力低下や難聴などの影響がでる場合もある。抗ウイルス薬を1週間服用し改善、眼科を受診し目に問題はなかったという。
富士山は夏の人気スポット。去年の登山者は約20万人。一方で安全やマナーの課題が浮き彫りになっている。軽装登山や弾丸登山はかなりの危険が伴う。6月某日、登山道は閉鎖されているにも関わらず、通行止めのゲートを越える人がいた。雲の上で奮闘する医師たちがいる。マウンテンドクターは標高3000mを越える雲の上で登山者の健康を守る医師たち。夏は富士山に泊まり込み、それ以外はそれぞれの病院で診療しながら山開きに備えている。山開き以外のシーズンを取材してみると、驚くべき準備があった。
山梨県立中央病院に1人目の富士山ドクターがいる。山梨県で唯一ドクターヘリを運営する高度救命救急センターで統括部長をしている岩瀬史明医師。看護師の山川さんも夏は富士山で働く一員。彼らは富士山に入るまではチームワークで命を救う救命救急センターのメンバー。今年4月、中国人の男性が閉山中の富士山に侵入し、遭難し救助されたがその4日後にまた救助された。その男性が運びこまれたのがこの病院だった。岩瀬先生は山道を走るトレイルランニングの選手として、毎年7月に開催される富士登山競走に出場している。そのトレーニングとして定期的に富士山を走って登っている。看護師の立川さんも山川さんも夏は富士山で命を救う。1年前の夏、緊迫する救護の現場に遭遇した。富士山の吉田ルートの8合目にあるのが富士山八合目 富士吉田市救護所。3人の姿があった。医師、看護師、事務員など4~5名がボランティアで運営している。診療用のテーブルとベッド2床、酸素ボンベ、心電図、AED、ガーゼ、注射器などがある。
アメリカからやってきた2人組、英語堪能な山小屋スタッフが通訳をする。男性は八合目で頭痛を感じはじめたという。診療を拒み、薬だけ欲しいという。医師に山を降りろと言われるのが怖かったという。診療をしないと薬の処方ができないと伝える。血圧、体温、血中酸素飽和度を測定し、高山病と診断し、薬を処方した。標高3000mを超えると地上に比べ気圧や酸素が3分の2程度に低下して起きるのが高山病。主な症状は頭痛、吐き気、倦怠感。高山病は脳に重大なダメージを負い、命を落とす危険もある。予防法は水分をしかっりとり、急がずゆっくり登ること。
午前4時、緊急出動。九合目に寒さで動けない登山客がいるとのこと。キャタピラー式の車・クローラーで現場へ向かう。すると、もう一台の車が近づいてきて、荷代に1人のドイツの女性がいた。九合目の気温は5℃前後で低体温症が疑われる。極寒の環境に身を置いた時など、深部体温が35℃以下になると発症する。低体温症が続くと、判断能力が損なわれ昏睡状態になる、臓器の動きが鈍り最悪の場合、命の危険もある。寝袋で患者の体を温めながら救護所まで搬送する。診断の結果、軽度の低体温症。ベッドで体を温め、はぐれてしまったツアーガイドを探す。2時間後、ガイドと合流し、ゆっくり下山した。
午前3時、緊急連絡が入る。日本人男性が山頂で動けなくなったという。山頂の気温は6℃前後で強風。低体温症が疑われる。救助に向かい、男性を連れて救護所へ。ベッドで体を温め回復を待つ。3時間で回復した。山頂でトイレで着替えている間に、冷たい風に吹かれて低体温症になってしまったと考えられる。
富士山の8合目にある富士山八合目 富士吉田市救護所は、富士吉田市と山梨大学医学部附属病院と富士吉田市立病院が共同運営されている。3日間で医師、スタッフを交代し24時間対応している。9月8日まで開設している。診療費は無料で善意の寄付を募っている。水がとても貴重なので、滞在中は入浴は無し、テレビやWi-Fiはある。食事は3食、山小屋 太子館から提供される。
今年6月、山梨県立中央病院では今年の富士山診療について話し合っていた。ことしは富士山の通行規定が強化される。弾丸登山をなくすために、去年吉田ルートではじめた夜の登山道閉鎖を、今年から全ルートで実施する。
去年の富士山で岩瀬チームは印象深い外国人の診療にあたった。岩瀬先生は救護所に勤務している間、毎日1回パトロールも兼ねて山頂まで登っている。その頃、救護所では近くに体調を崩してた外国人女性がいるとのことで、看護師が現場に向かう。インドから来た夫婦、奥様が激しい腹痛で動けなくなったという。血中酸素飽和度は正常のため、高山病の可能性は低い。さっき下剤を飲んだという。下剤で便を出せば腹痛が治まると考えたという。救護所で診療をすることに。連絡を受けた岩瀬先生が戻ってきた。整腸剤を処方してしばらく様子を見る。頂上に登らず山小屋に宿泊し、息子さんと合流することになった。翌朝、女性の体調は回復した。
富士山八合目 富士吉田市救護所に新たなチームの姿があった。診療所を作った伝説のマウンテンドクターを去年取材した。橋本敬太郎医師は今年で84歳。2002年に救護所を立ち上げた創設メンバーの1人で毎年欠かさずに救護所を訪れ診療している。チームメンバーは普段勤務する病院の看護師。
60代の日本人夫婦がやってきた。ご主人が登山道で転倒し、前歯を強打したとのこと。診断は高山病の頭痛が引き金の転倒。高山病は高齢者にかかりやすい傾向がある。ご主人は下座してから歯医者で治療を受けることに。
東京大学医学部で山岳部に所属していた橋本先生の住まいは、神奈川県鎌倉市。普段は鎌倉病院で内科医として勤務している。橋本先生には心強い協力者の妻・康子さんがいる。87歳の今もなお富士山で診療を続けられる秘訣は、奥さまが作る毎日の食事にある。飲んでいたのはオレンジなど柑橘類の生搾りジュース。橋本先生は食事をしてから、運動をする。康子さんは帰国子女で英語教師、6年前まで富士吉田救護所に通訳として参加していた。橋本先生は橋本龍太郎のいとこ。
去年のある朝、フィンランドの女性がやってきた。橋本先生は英語で診察を開始。本格登山は初めてで息切れを感じ不安になったという。頭痛はなく息切れ程度なのでゆっくり登れば大丈夫と診断した。