- 出演者
- 東野幸治 草野仁 赤江珠緒
北海道札幌市にある札幌孝仁会記念病院にも山開きに備える富士山ドクターがいる。大城和惠医師、58歳。先生を目当てに受診しにきた女性は60歳を越えてキリマンジャロに登るという登山愛好家。受診しているのは山岳外来。山岳外来は登山で発生する病気の予防と治療を行う日本でも数少ない専門外来。大城先生は山で発生する病気やケガの専門知識を身につけ患者を治療する国際山岳医の資格を日本人で初めて取得した医師。普段は山岳外来で登山者をサポート。夏は富士山で登山者を診療する。大城先生が山開き後に常駐するのは標高3250mにある富士山衛生センター。
日本初の国産山岳医にして夏は富士山ドクターをつとめる大城先生、普段は北海道で登山外来を開設し登山者をサポートしている。富士山では、標高3250mにある富士山衛生センターに常駐しているそう。
富士山八合目にある診療所。訪ねてきたのはアメリカ人の父娘。15年前にバイク事故で痛めた膝が痛むという父。娘さんには小さな赤ちゃんがいて、早く下山したいという。この診療所には精密検査を行う機器はなく、問診で症状を見極めて処置するという。
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- アラスカ州(アメリカ)デナリ山富士山
富士山八合目の診療所。患者を守るのは大城先生の判断力のみ、痛み止めを処方した。登山経験が豊富な患者のため、一時的に痛みを抑え自力で下山できると判断した。
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富士山八合目の診療所。大城先生は「登山者が自ら安全に下りる力を促す場所として機能しなくてはいけないと思っている」などと話した。
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富士山に登った経験がある赤江珠緒。想像以上に過酷だったという。赤江さんは「登ってみて富士山って独特だなと思った。七合目あたりからまったく木がない。風をよける場所もない。木陰はない風をよける場所もない。八合目になると寒くて、みんな寒いってなったり頭が痛くて高山病になった人もいた。私は元気だったので頂上をぐるっと1周してました」などと述べた。
6月某日、長野・小諸市にある「安藤百福記念アウトドアアクティビティーセンター」6月某日、長野・小諸市にある「安藤百福記念アウトドアアクティビティーセンター」に大城先生の姿があった。登山者に向け行っているファーストエイド講習会。山でケガをした場合の応急処置や対処法を教える。大城医師が普及させたい物がどこでも隠れるシェルター。登山中の死亡原因として2番目に多い低体温症。低体温症から身を守るためのシェルター。かぶることで雨風をしのいで保温するもの。大城医師が登山シーズンに常駐するのが富士宮ルートの八合目。標高3250m。9月7日まで開設。複数の医師が24時間体制で勤務。静岡県と富士宮市の観光課が共同運営。診療代、薬代は無料。募金箱を設置し善意の寄付をつのっている。2年前の夏、先生には毎朝欠かさず行うことがある。気温と風速をはかる。スマホを取り出しSNSでその日の情報を発信して注意喚起。1番の楽しみが山小屋から運ばれる1日3食のお弁当。水が貴重なため、お風呂はない。大城先生は50歳のときに世界最高峰エベレストに登頂。大城医師が山岳医療に惹かれたきっかけは?長野県出身で幼い頃から登山に親しんだ。医学生時代に登ったヒマラヤで同行したネパール人が高山病に。そのとき、あることを痛感したという。山で起きる病気について勉強したいと思ったという。イギリスへ留学。日本人初の国際山岳医の資格を取得。山と医療のスペシャリストとなった。ある日の午前11時、先生が向かうのは診療所の隣にある山小屋。登山者に食事や寝床を提供している。具合が悪そうな登山客に声をかける。
午後1時、新たな患者がやってきた。流暢な日本語で訪ねてきたのは日本在住の中国人リラさん(当時37歳)。2度目の富士登山で初めての頭痛。原因を探るため症状を詳しく問診。水分に関する質問を繰り返す。原因は脱水症。水分不足が頭痛を引き起こしていた。渡したのは経口補水液。休憩をとりながら登るようアドバイス。このあと家族と無事に富士山頂にたどり着いた。
大城さんは、週2~3回、トレーニングとして標高225mを登っているという。1ヶ月合計で登り2000m・下り2000m以上歩くと、健康増進・体力維持に効果があるという。この日、大城さんは約40分で円山を登りきった。
2年前の夏、大城さんは、富士山でアメリカ・カリフォルニアからやってきたという親子と出会った。母親が八合目に着くと体調を崩し、嘔吐したという。母親は高山病と診断されたが、軽症だったため酔い止めが処方された。
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- カリフォルニア(アメリカ)富士山高山病
今年6月、大城さんは国際山岳救助協議会からの招待でネパール・カトマンズを訪れ、山岳医に低体温症の救助法を講演した。
青森・八戸市の八戸市立市民病院 救命救急センターは、「8歳の男の子が吊橋の遊具から転落し、意識がない」の通報を受け、十和田市まで駆けつけた。八戸市から十和田市までは約40km離れ、車なら約1時間かかるが、ドクターヘリなら約10分で到着するという。男の子はCT検査を受けたところ、脳震盪と診断され、1日入院し、元気に会話ができるまでに回復した。この救命センターは年間約2万人の患者を救っているという、東北トップクラスの病院だという。取り仕切っているのは医師の吉村有矢さん。診療範囲は青森県・岩手県の半径50kmで、救急医療の最先端のため、日本全国の病院から医師が研修に訪れるという。ある日、意識が消失したという80代男性のもとに駆けつけるため、吉村さんはドクターカーに乗り込んだ。男性は、顔が浸かったまま浴槽に沈んでいたという。高齢者の家の浴槽での溺死は、交通事故の死者数の約2倍の多さだという。
浴槽で意識を失ったという80代の男性は、無事血中酸素飽和度が回復したが、レントゲン検査の結果肺炎が判明。その後、男性は集中治療室に入院し、肺炎を治療することになった。3日後、男性は会話できるまでに回復した。部屋と風呂の温度差が10℃以上あると、血圧の急激な変化で意識を失い、溺れる高齢者が多いという。また、ある日、「95歳の男性がバイクで事故を起こし、頭から出血している」との通報があった。男性は意識はあるものの会話はできず、ドクターヘリで搬送された。
バイクを運転していた95歳男性が事故で搬送されてきた。そのとき患者の容態が急変。どうやら肺の周りに水が血が溜まっているとのこと。肋骨の間から直接管を挿入し、溜まった体液を抜き出す。もともと高齢だったため胸水が溜まっていたそうで、患者の呼吸は回復。高齢者ならではのトラブルを見事に回避した。しかし全身のCT検査で事故を起こす前なのか定かではないが、95歳男性は脳出血を発症していたことが分かった。程なくなくして緊急手術がスタート。頭蓋骨に穴をあけ、血液を抜いていく。2時間後、手術は無事終了。95歳男性は命の危機を脱したが現在も治療は続いている。
年間約2万もの患者を受け入れる「八戸市立市民病院 救命救急センター」。そんな救急医の虎の穴に飛び込んだ新米ドクターがいる。今年4月から研修医として働く松井美緒医師だ。小児科・産婦人科といった周産期系を目指しているとのこと。そんな松井先生がこのあと謎の症状に悩む患者を助け出す。それはある日の午前8時に起きた。
激しいめまいと吐き気を訴える55歳男性。めまいの原因を松井先生が探る。まずは耳の聴力に問題はないか確認。突発性難聴などを発症した場合、めまいを伴うことがあるが、聴力に問題はない。続いて脳に異常がないかの検査。脳梗塞などで脳が傷つき、平衡感覚を司る部分がうまく働かなくなるとめまいを感じることがあるそうだが、聴力の低下や脳梗塞の傾向は見られなかった。しかし安静にしているということから松井先生は医療器具としては見慣れないゴーグルを取り出した。患者は装着すると目の前が真っ暗になる。その状態で眼球がどのように動くかを医師がチェック。すると健康な人の場合、視線は一定方向に固定されるが、この患者の場合左右に移動する症状が見られた。考えられる原因が耳の内耳からくるめまい。松井先生は謎のめまいの原因にたどり着いた。実はこの眼球の痙攣を伴うめまいは耳の奥の方にある三半規管の異常によって起こる症状。その異常を引き起こすのが「耳石」という聞き慣れないもの。耳石とは人間の耳の中にある石のような粒で、重力や体の方向を感知する働きがある。その耳石が離れ、平衡感覚を司る三半規管に入り込みコロコロ動くとめまいが起きてしまう。耳石によるめまいの特徴は安静にしていれば石が動かず症状が軽くなるということ。症状が和らいだ男性はその日のうちに帰宅。後日耳鼻科で詳しい検査をすることになった。