鉄やチタン、それに水資源の存在が指摘されている月。各国が国を挙げて月面開発を目指す中、米国では新たに民間企業が開発の担い手になろうとしている。ペンシルベニア州の企業は、来年打ち上げる計画の月への着陸船の開発に取り組んでいる。月面にたどりついたあとの開発の担い手も、民間企業。テキサス州にあるベンチャー企業は、巨大な3Dプリンターを使って、月面に居住空間を立ち上げる技術を開発している。実際に作った建物で、人が生活する実験も行われた。こうした民間企業の参入を後押ししているのは、米国の国防総省やNASA。このうちNASAは月着陸船の開発に、2028年までに最大で26億ドル、日本円で3700億円余りの資金提供を行うことにしている。NASAは民間の活力を生かして月面開発に必要な技術やサービスを生み出し、国際競争をリードしたい考え。一方で課題もある。現在、月の資源に関する国際的なルールは事実上、確立されていない。専門家は各国が月の探査を活発化させる中、明確なルール作りが必要だと指摘する。月を巡っては、中国がことし6月に世界で初めて月の裏側からサンプルを持ち帰ることに成功したほか、インドも去年、月の南極付近への着陸に世界で初めて成功するなど、各国の動きが活発化している。