一筋縄ではいかない愛を綴った物語「一番の恋人」。主人公の道沢一番には2年ほど付き合っている神崎千凪という彼女がいる。周りが羨むほど2人の仲は良く交際は順調と一番は思っていた。そんなある日、一番は千凪を実家に招き家族に紹介。すぐに打ち解け楽しい時間を過ごしていたが、父親が結婚の話を始める。戸惑った様子の千凪。一番は父親に対し「結婚したいって思ってる」と告げ、実家から帰ったあと改めてプロポーズした。すると千凪は一番を拒んだ。そして翌朝、千凪は一番に対し「結婚できない。愛してると思ったことは一度もない」と告げた。さらに、誰に対しても恋愛感情・性的欲求を抱いたことがないアロマンティック・アセクシャルだと告白。君嶋さんは、映画や小説は恋愛をテーマにしたものがいっぱいあるので、恋愛がわからない状態で過ごすのはすごくしんどいことだとなんとなく思っていて、そこを書けていけたらと思ったという。彼女の抱えていた苦悩、自分への本音を知った一番だったが彼女への想いは止まらない。2人はお互いのために偽装結婚という形を選ぶ。しかし理想の生活とかけ離れていた。一方、千凪にとって一番は大切な存在だった。だからこそ一番へ罪悪感を抱くようになる。君嶋さんは、千凪という存在を通して一番はどういう選択をするんだろうというのを自分の中で考えてみた結果が今回の物語だという。