先週~今週にかけて北京ではロボットに関連する大型イベントが相次いで開かれている。習近平指導部は2030年を最終年とする第15次5カ年計画に育成すべき未来産業の一つとしてエンボディドAIを盛り込んだが、一方でロボットでは代替できない新たなビジネスも広がっている。急速な技術革新と現実の狭間で揺れる中国の今を取材した。北京で開かれた世界最大級の世界ロボット大会。中でも来場者に人気だったのがロボットによる家事の実演が行われているブース。中国ロボットのスタートアップで注目を集めるガルボットは、自ら判断して物をつかみは運ぶ“汎用ロボット”で実績がある。薬局ロボットはオンラインで注文が入るとその商品を棚から取り出し梱包用の機械に投入。価格は1200万円からと高額だが、24時間稼働可能で導入後1年間目立ったミスはない。香港の調査会社によると、2025年のヒト型ロボットの世界導入台数は約1万6000台に達し、うち8割以上を中国勢が占める。応用シーンは広がっていて、20種以上のロボットが働くレストランも登場。こうした技術革新に対し、中国では足元で人間ならではのビジネスの需要が高まっている。病院への移動補助、登山中の写真撮影など人間の感情面を満たす“寄り添い経済”は中国の新たな消費産業として広がりを見せている。中国国営メディアの推計によると、寄り添い経済の市場規模は2025年には500億元(約1兆2000億円)に達したとみられている。記者が万里の長城に一緒に登ってくれるサービスを利用した。料金は1時間150元(約3600円)からで、一緒に山を登りながら話し相手を務めたり、本格的な機材で記念撮影したりする。王さんは中国の景気低迷でライブコマースの仕事を辞め、寄り添いビジネスを始めたという。利用者の多くは30~40代の会社員。ストレスや孤独感など心理的負担を人とのつながりで解消したい人が増えている。こうした仕事はAIやロボットには代替できないと王さんは訴える。
