多摩川では約20年前から外来種が頻繁に確認されるようになった。川の環境保全に取り組むNPO法人「おさかなポストの会」代表・山崎愛柚香さん(31)は「多摩川の環境に適応してしまったペットショップ由来の魚は今でもとれるポイントが点在している。一度定着して崩れてしまった生態系はそう簡単には戻せない」と話す。このNPOを創設したのは3年前に亡くなった父・山崎充哲さん。20年前に多摩川の外来種を回収する“おさかなポスト”を設置し、飼えなくなった観賞魚などを一時的に保護し、新たな引取先を探す取り組みを行った。愛柚香さんは父に連れられ、物心がつく前から川の生き物と触れ合っていた。小学校高学年の頃から父の手伝いを始め、大学では水産について学び専門性を磨いた。愛柚香さんは活動を引き継いで精力的に地域を回っている。現在は移動水族館に最も力を入れている。多摩川周辺の小学校では出前授業も行っている。愛柚香さんは「生きているものは全部命。外来種であれ在来種であれ、この場所で根付いて生きているのであれば命を無駄にしたくない。私たちが多摩川の生態系の一部となって活動をやり続ける必要がある」と話した。