山梨大学医学部の大岡忠生准教授らは今、一人一人の血液や唾液などに含まれるたんぱく質や遺伝子などの情報と、スマートフォンで記録した飲酒や運動などの生活習慣を組み合わせてAIで分析し、健康指導につなげようとしている。AIが担うのは5400種類以上のたんぱく質と個人の生活習慣とのつながりを分析する作業。今、進めているのは糖尿病に注目した研究。大岡教授らはおととしから去年にかけて糖尿病の疑いがある約200人を対象に先行研究を実施。研究では参加者の血液に含まれる糖尿病と関係するたんぱく質を分析。先行研究ではアプリのAIを使って個人の健康指導をすることで薬や通院回数が減るなどの効果が現れ、参加者全体で約5000万円の医療費の削減にもつながった。大岡准教授の研究の原点にあるのは学生だった頃に感じた“多くの病気は早く見つかれば早く介入をしてあげれば治るのに、なんで病院に来てからすべての病気を治そうとしているのか”という疑問。実証のための環境を探す中で5年前に注目したのが山梨県。健康への意識の高さに目が留まった。国の調査では県内の健康寿命は男性・女性共に全国上位で、特定健診の受診率も国の平均を上回っている。ことし3月、大岡准教授らの研究は新たなステージへ。国の支援プログラムに採択され、中央市のほか大手IT企業や製薬会社など19の機関が参加する一大プロジェクトとして動き出した。大岡准教授は「先制医療の考え方が当たり前になる医療というものが未来の医療ではないか」と話した。
