土曜の朝6時に駐車場に1台の車から男性が降りてきた。一直線にクレーンゲームの前にやってきた。かなりの常連の様子の男性は、週に3日病院で人工透析を受けているという。10代のころから腎臓を患っている。5年前に症状が悪化し仕事を続けられなくなった。83歳の父親と2人暮らしで病院に行かない日は父親の面倒を見ているという。男性は、この場所が一番リラックス出来る場所と語った。ここで一息ついてまた男性は病院に向かった。
土曜のお昼にはホテルは全く違う顔を見せる。レトロな自動販売機では、創業当初から手作りで作られている。山形から食べにきた男性も現れた。ここだけの味を求めて県内外からマニアが押し寄せる。埼玉県から来た工場勤務の男性はコミケで同人誌を書くために取材に訪れたと語る。
午後2時、トラックが入ってきた。埼玉から来た庭石屋の男性が現れた。庭石は売れないと語る男性は赤字だと答える。バブルの時代は飛ぶように売れたが最近は興味を持つ人がなかなかいない。子供が独立しても夫婦の生活を支えるために日本中を回っている。国民年金だと年間50万円程度で生活できないと語った。男性は楽ではない生活を語る一方で明るく見せていた。
土曜日の深夜1時30分に熱心に語り合う男性がいた。小学校からの親友という2人が野球の相談をしている男性たちは、家には奥さんも子供もいるので、夜たまに一緒に出た時くらいはちょっと長く一緒にいたいと語る。きがつけばロビーのあちこちに仲の良さそうな人たち同士が集まっていた。