カワハギは日本各地でとれるが、相模湾のものはいち早く旬を迎え高値で取引される。長井漁港のカワハギ漁師の中で最年少ながら一目置かれている仲地慶祐さん。漁場は港から10分程。カワハギ料は刺し網や定置網などが一般的だが、釣り竿で釣るという。釣りで獲った魚はダメージやストレスが少なくすみ、ストレスがないきれいな状態で獲ってきた魚は味もいいからだという。カワハギは釣るのが特に難しいという。理由は泳ぎ方。ヒレを使って水中に止まることも、後ろに進むこともできる。エサを少しずつ食べてしまうので針にかかりにくいという。仲地さんの漁の極意は、正確なポイント選び。夏場などに行う素潜り漁で、相模湾の複雑な海底を実際に見てカワハギが好む場所を熟知している。むやみに沢山獲らず、釣り上げた1匹を大切に扱い価値を高める。仲地さんのカワハギは、都内だけでなく関西などの有名レストランからも引き合いが耐えない。最高の鮮度で届けたいと、近場の店には自ら運ぶ。連日満席になるという和食店「友酒家」。極上のカワハギを煮魚に。美味しく煮上げるワザは、肝は流水でよく洗い、煮崩れを防ぐため身の中に戻す。仲地さんの出身は大阪。釣り好きが高じて漁師に憧れ、東京の海洋生物学を専攻。IT企業に就職するも、夢が捨てきれず23歳の時しらす漁の体験乗船に応募。しらす漁船で6年修行を積み自分の船を持った。始めは刺し網漁をしていたが、腰を痛め原点の釣りに立ち返った。独り立ちして4年、今や先輩漁師も認める達人。