長崎の新しいブランド魚「伊王島日の出カマス」。長崎市伊王島の飲食店「ごはんやさん」。提供するのは店主の小峰雅司さんが獲った鮮度抜群の伊王島産のカマス。午前5時半漁に出る。一緒に漁に出るのは「弟子」の津陽介。兵庫県出身の小峰さんは12年前に妻の地元・長崎にIターン。移住した当初は通信業の会社に勤めていたが9年前、妻の親戚の家業を継ぐことになった。小峰さんは「兵庫から長崎に来たときに、魚の美味しさにまずびっくりした、自分で獲って自分で食べたら一番美味しいので」と話す。かつては多くの漁業者でにぎわった伊王島。しかし現在は人口およそ600人と最盛期のわずか1割に減っていて、高齢化と漁業の後継者不足が課題となっている。小峰さんと地元漁協は去年10月、伊王島で獲れたカマスを「伊王島日の出カマス」のブランド名で売り出すことにした。鮮度が高いうちに配送するシステムを構築。美味しさ、干物以外の食べ方を発信することで、知名度の向上と消費の拡大を目指している。全国展開も見すえ雲仙でとれた「塩」とコラボした新商品も開発中。妻・美帆さんは「ずっと働いてるなと思ってます。友達が昨日(小峰さんを)見ていて幸せそうって言っていた。やりたいこと全部やっている」と話す。小峰さんは島にかつてのにぎわいを取り戻そうと新たな計画も立てる。定置網の設置だ。漁獲量を安定させることで漁業者が増えれば、人口の増加にもつながると考えている。西彼南部漁協・葺本弘孝参事は「漁師でも食べられるんだという成功事例があれば自分もやってみようかなと挑戦される若い人も増えてくると思う」と話した。移住して12年、大好きなこの島とカマスを食べた人の笑顔が小峰さんの原動力。