「コメ政策」エコノミクスパネル調査(日経電子版)。政府が検討する政策など経済に関するテーマについて経済学者47人に見解をきくエコノミクスパネル、今回のテーマはコメ生産。調査では主食のコメから飼料用のコメなどへの転作を促す助成金について、縮小すべきとの声が60%に及んだ。助成金が農家の意思決定を歪め、コメの増産を阻害しているとの意見が目立った。転作助成金は年間3000億円前後。食料自給率をあげるのが目的だが、コメ価格を高騰させた一因ともされている。大阪大学の安田洋祐教授は、短期的には採算が合わない作物の転作に助成金で誘導され生産性が低下する、長期的には助成金依存の体質が温存され、農家の経営改善やイノベーションの進展を妨げると指摘。一橋大学の佐藤主光教授は、同じ国費を使うのであれば農地の大規模化への支援・収入の変動に対する保障にあたるべきとしている。政府による転作助成を含む事実上の生産調整はコメの供給を長期的に安定させる効果があるか?と聞いた所、そう思わないと全くそう思わないが過半に達した。東京大学の田中万理准教授は、生産調整はカルテルにより米価の高価格を維持する仕組みと同じで消費者が不利益を被るとした。大阪大学の大竹文雄教授は、市場競争による生産の効率性や質を引き上げるインセンティブが十分に働かないとした。