一定の年収を超えると配偶者の扶養を外れ、社会保険料の負担が生じて手取りが減る「年収の壁」。パートで働く人の就労時間の抑制を招くことから、人手不足の要因との指摘もある。政府はこのうち、厚生年金などが適用されない事業所で働く人が配偶者の扶養を外れて自ら国民年金や国民健康保険の保険料を支払うようになる「130万円の壁」について、一時的な増収なら、連続2年まで扶養にとどまれるようにする方向で検討。現在の運用でも、一時的な増収なら直ちに扶養から外さず、総合的に判断することになっているが、「2年まで」と期間を明示することで扶養にとどまりやすくし、就労時間の抑制を防ぐ狙いがある。具体的な運用では、事業主側が一時的な増収と証明し、健康保険組合などが判断することになる。政府は、厚生年金などが適用される事業所で働く人が扶養を外れる「106万円の壁」についても、手取りが減らない水準まで賃上げや労働時間の延長を行う企業に対し、従業員1人あたり最大50万円の助成をする方針で、こうした対策を盛り込んだ支援パッケージを近く公表することにしている。