ことし8月に出版された「なぜ地方女子は東大を目指さないのか」。著者は現役東大生で、静岡県出身の江森さんと兵庫県出身の川崎さん。執筆のきっかけは、大学の授業で、地方にある進学校で男子に比べ女子のほうが浪人をする人が少ないというデータを見たこと。地方の女子の進学には壁があるのではないかと考え、全国27の進学校に通う高校生約3800人を対象に調査を行った。浪人しても志望大学に行きたいと思うかという質問に対し、男子より女子のほうが浪人をしたいという人が少なく、地方女子では特に少なかった。浪人して入学した江森さんも、周りに浪人する女子は少なかったという。女子の保護者に、浪人での不安な点を聞くと、浪人すると婚期が遅れるという意見があったという。東大にどのくらい合格しそうかという質問では、地方女子と首都圏や男女で比較すると、学力レベルにかかわらず、地方女子の自己評価が低かった。資格のある職業につくことは人生において大事だと思うかという質問では、地方女子が大事だと思う程度が最も高かった。地方で資格を取る職業以外のロールモデルがない状況が改善していないという。川崎さんは、地方の女子学生にこういう現状があることを知ってもらって、変化が起きるといいなどとした。