銭湯絵は大正時代から続くとされている。現在は銭湯の減少に伴い、担い手である絵師の数も減っている。銭湯絵師の丸山清人さんの孫・間川千奈さんは美術大学出身で駆け出しの銭湯絵師。銭湯絵は湿気の影響で劣化が早く、通常2、3年で塗りかえられる。千奈さんは入院中の祖父に代わり絵の修復を担っている。おじいちゃん子の千奈さんは幼い頃から祖父が絵を描く姿を間近で見てきた。丸山さんがこれまで描いた絵は全国で1万点以上。千奈さんが特に好きなのが青のグラデーション。自分も祖父のような絵を描きたいと大学卒業後、祖父に弟子入りした。“見て学べ”が口癖だった祖父。千奈さんは筆使いを繰り返し真似ながら技を体に染み込ませていった。3年前、祖父が脳梗塞を患い、絵を描くことが難しくなってしまった。祖父の絵が残る銭湯は都内で20軒ほど。丸山さんが6年前に描いた絵は劣化が進んでいた。祖父の絵を何とかして残したいと、千奈さんは「修復」に挑んだ。受け継いた特注の紺色を使って色を混ぜ合わせる。後日、千奈さんは修復の報告をしに入院中の祖父を訪ねた。千奈さんは「祖父のようにたくさんの人に愛されるような絵を描けるよう頑張りたい」と語った。
