現地で取材している大庭雄樹記者に聞く。首脳会議に参加した各国はロシアの脅威を強く感じているよう。ロシアが国境を接している国も多くその脅威を現実のものと捉えている。それを象徴しているのがスウェーデン政府が国内のすべての世帯に配り始めたパンフレット。タイトルは「危機や戦争に備える」。中を見てみると食料の備蓄の必要性、このように空襲警報の説明などが書かれている。また仮に核兵器が使われた場合、シェルターに避難することなども求めている。これを受け取った市民の方は「ウクライナで起きていることを今止めなければ、いよいよスウェーデンに近づいてくる」と話し、自国の将来への懸念を強めていた。そうした中、今回の首脳会議で出されたメッセージのねらいや意義はどのようなものだったのだろうか。米国のトランプ次期大統領を意識した内容となった。トランプ氏がウクライナを巡って具体的な方法を示さず、「戦争を即座に終わらせる」と主張しているのに対して共同声明ではウクライナが掲げる勝利に向けた計画を明確に支持した。また、トランプ氏がNATOの在り方を見直すとする中で各国はヨーロッパの安全保障、ウクライナ支援を巡ってこれまで以上の役割を担う姿勢を強調している。ただ、米国に相応の関与を続けてほしいという思いもにじんでいる。東西冷戦の時代を通じて大きな役割を果たしてきた米国との集団防衛体制が崩れれば、ヨーロッパ各国が安全保障政策を根底から見直す必要に迫られることになるから。各国はトランプ氏の言動にも注視しつつ今後も米国への呼びかけを続けていくものと見られる。
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