今年春、海上保安大学校の卒業式。彼らは海上保安庁の幹部として船長や指揮官などを目指す。その中に、異色の経歴を持つ人も。海上保安大学校はこれまで、入学資格は高卒者のみだったが、新たに大卒で30歳未満の人にも門戸を開いたという。そして、今年は28人が初の卒業生になった。佐藤若菜さん(28)、以前は大学院の法医学教室で遺体の解剖などをする仕事をしていたが一念発起し転職した。卒業式を終えた佐藤さん。仲間と別れ、すぐに配属先へ向かった。福岡県門司海上保安部の巡視船きくち。ここが新人航海士としての職場になる。新人ながら主任航海士としてチームを指揮する立場。指導係を務めるのは同じく主任航海士で乗船歴2年めの徳永さん。徳永さんは同じ主任ではあるが高卒で大学校に入学しているため佐藤さんより4歳年下の先輩。配属から約1カ月、訓練のため、船が出港。指導係の徳永さんが指揮を取る。佐藤さんが乗る巡視船きくちが主に航行するのは海上交通の難所、関門海峡。多い時には1日に約1000隻もの船が航行するという。佐藤さんは障害物・接近する船を発見し、操船指揮者に伝えること。先輩航海士の徳永さんは船を指揮しながら次々と船を発見していくが、佐藤さんはなかなか船の情報を報告することができない。さらに停泊中も錨を上げる作業もどこか自信なさげ。年下で仕事をこなす徳永さんに対し、何もできない自分のふがいなさ。早くも壁にぶつかっていた。
今年6月、休みの日に全国に散らばった大学校の同期が久しぶりに集合した。やってきたのは学問の神様菅原道真を祀る太宰府天満宮。仕事を頑張れるようにと手を合わせた。そして、みんなでひいたおみくじ。佐藤さんは大吉だった。同期と過ごす時間が仕事への原動力となった様子。巡視船きくちは海上保安庁の各管区に1隻配備される鑑識指定船となっている。船には事件解決につながる証拠を見つける鑑識の道具が並ぶ。乗組員は事件や事故などの重大事案が発生した場合、現場に急行し証拠収集などを行うため鑑識技術の向上に向け訓練を重ねている。法医学教室出身の佐藤さんの経験がいかせる場。今年6月、実際の事件の鑑識を行う映像。そこには早くも活躍する佐藤さんがいた。別の日には法医学教の知識を活かして他の乗組員に遺体から得られる情報などを教えることも。その表情には少し自信が。配属から半年、的確に周囲の動きを伝える佐藤さんの姿があった。さらに、錨を上げる作業では力強い口調で指揮。無事に作業を終了。佐藤さんのような社会人経験者の採用の背景は海上保安庁の今後に必要だという。海上保安庁・警備救難部の彼末浩明部長は「海上保安庁の業務が年々非常に複雑化・多様化している。組織の中の人材としても多種多様で高度な知識・経験・技術を有する職員が必要」などコメント。海上保安官としての新たな道を歩き出した佐藤さんは「前職の経験をいかしてもらっている面もある、ひとつのいい歯車になれれば」などコメント。
今年6月、休みの日に全国に散らばった大学校の同期が久しぶりに集合した。やってきたのは学問の神様菅原道真を祀る太宰府天満宮。仕事を頑張れるようにと手を合わせた。そして、みんなでひいたおみくじ。佐藤さんは大吉だった。同期と過ごす時間が仕事への原動力となった様子。巡視船きくちは海上保安庁の各管区に1隻配備される鑑識指定船となっている。船には事件解決につながる証拠を見つける鑑識の道具が並ぶ。乗組員は事件や事故などの重大事案が発生した場合、現場に急行し証拠収集などを行うため鑑識技術の向上に向け訓練を重ねている。法医学教室出身の佐藤さんの経験がいかせる場。今年6月、実際の事件の鑑識を行う映像。そこには早くも活躍する佐藤さんがいた。別の日には法医学教の知識を活かして他の乗組員に遺体から得られる情報などを教えることも。その表情には少し自信が。配属から半年、的確に周囲の動きを伝える佐藤さんの姿があった。さらに、錨を上げる作業では力強い口調で指揮。無事に作業を終了。佐藤さんのような社会人経験者の採用の背景は海上保安庁の今後に必要だという。海上保安庁・警備救難部の彼末浩明部長は「海上保安庁の業務が年々非常に複雑化・多様化している。組織の中の人材としても多種多様で高度な知識・経験・技術を有する職員が必要」などコメント。海上保安官としての新たな道を歩き出した佐藤さんは「前職の経験をいかしてもらっている面もある、ひとつのいい歯車になれれば」などコメント。