ユネスコで各国の対立がくすぶっている。長らくユネスコに不在だったアメリカが今週復帰した。5年前当時のトランプ政権は”中東の文化遺産の扱いが反イスラエル的だ”などとして、イスラエルを引き連れて脱退。しかし国際協調を掲げるバイデン政権は11日ユネスコに正式に復帰。アズレ事務局長は「ユネスコが真の国際性を取り戻し、対立が解消される大きな一歩だ」と歓迎している。一方先月開かれた臨時の総会で、アメリカの復帰に対し中国やロシアなど10の国と地域が公然と反対。それらの国々は「アメリカは巨額の負担金を滞納してきた上、復帰にあたって不当な配慮を受けた」などと敵意をあらわにしている。なんといってもロシアの軍事侵攻が影を落としている。ユネスコはロシアがウクライナ西部の世界遺産の都市を攻撃したことを非難する声明を出したが、ロシアは直ちに「モスクワのクレムリンもウクライナによるドローン攻撃を受けた」と反発。またユネスコではAI利用の国際的なルールをめぐる議論が続いているが、この分野でしのぎを削っている米中が激しく主導権を争う時代も予想される。米中に続く第3の分担金の拠出国である日本の貢献も問われることになる。