大正11年、イギリス皇太子エドワードが来日し大歓迎を受けた。エドワード皇太子を迎えるために作られた国賓専用の10号御料車。車内への入口を兼ねた展望デッキからは日本の風景を堪能できた。展望室を彩るのは和風の装飾。この御料車が計画された当時、日本の外交を支えてきた日英同盟の存続が大きな課題となっていた。日本はエドワード皇太子に最大級のもてなしをしようと突貫工事で御料車を作った。しかし日英同盟は廃棄され、10号御料車は歴史の荒波に揉まれていく。昭和8年、日本は国際連盟を脱退。御料車には新たに満洲国皇帝・溥儀をもてなす役割が回ってきた。そして昭和20年、太平洋戦争が終結すると10号御料車はGHQに接収された。展望デッキにはマッカーサー夫人が立ち観光を楽しんだ。10号御料車が再び脚光を浴びることはなかった。
