埼玉県に住む根岸信介さんは去年直腸がんのステージIIIと診断された。がんは肛門から近い場所にあり腸の壁の奥深くに食い込んでいて腸を大きく切り取る手術が必要だと告げられた。その場合永久人工肛門が避けられない。がんを詳しく調べると「MSI-High」と呼ばれるタイプであることがわかり、ほかのがんよりも遺伝子の傷が多いため免疫細胞が異物だと認識しやすい特徴がある。異物と認識するとがん細胞を攻撃するため免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる免疫細胞を活性化させる薬を使うことでがんを一斉に攻撃できる可能性があった。根岸さんは手術や放射線治療をせずにこの薬だけを投与する治験に参加。2週間に1度投与したところ直腸に大きく広がっていたがんが見つからない状態まで改善した。根岸さんは「40年以上続けてきた美容室に変わらず立つことができ、治験で与えられた命だと思っている。誰もががんを克服して仕事にも復帰できるような時代になってほしい」と話していた。免疫療法で劇的な効果が期待できるがんは一部に限られていて直腸癌では最大で3%ほど、胃がんでは10%ほどに留まる。記事では世界各地で開発中の治療法を紹介している。日本の大手IT企業がドイツで進めている免疫力を活用した治療開発の現場や子育てをしながら治験に参加した患者などを取材している。
