今日の蔵出しセレクションは「あの人に会いたい」。今年4月に49歳で亡くなった作家の大宮エリーさんを取材した。大宮さんは昭和50年大阪生まれ。児童文学が好きな少女だった。小学生の時はいじめに遭い苦しんだという。平成11年、東京大学を卒業した大宮さんは広告代理店に入社。コピーライターやCMプランナーとして歩み始めた。入社6年目で企画したのが自殺防止のCMだった。童話の名作を引用し、いじめに悩む子どもたちにメッセージを贈った。大宮さんはこの作品でTCC新人賞を受賞。ところが翌年、会社を辞めてしまう。独立後、大宮さんは映画「海でのはなし。」で映画監督デビュー。さらに週刊誌で自身の体験をコミカルに綴ったエッセイの連載を始める。大宮さんが30代後半になって取り組んだのがアート。言葉と造形で作った空間を観客に体験してもらう個展を開いた。また、画家として絵画制作にも取り組み、各地で個展を開くなど精力的に活動していった。多彩な才能を発揮した大宮エリーさんは、人々に寄り添い心を温める表現を貫いた生涯だった。
