和歌山を流れる富田川は、水が清らかで上流には天然のあゆも生息。あゆの養殖には、地下から組み上げた伏流水を使用。あゆの生産者の岩出さんによると、伏流水はミネラル分が豊富で年間17℃と安定。警戒心の強いあゆは、人の動きを察知すると一斉に逃げ出す。このときの反応スピードであゆの健康状態をチェック。元氣なあゆを育てるには、酸素をたっぷり含んだ水が必要。そこで大切なのが水車。水車を回すことで、空気中の酸素を水中に取り込む。もう1つ重要な役割があり、川の流れのように水流を作っている。自然の水流を再現し、その中でたくましく育てることで身が引き締まったあゆが育つ。さらに上質なあゆを育てるためあることに挑戦。時計回りと反時計回りの両方の水流を経験させることで、筋肉のバランスが良くなることを期待している。エサにもこだわっており、タンパク質を多く含む国産の魚の魚粉を与えている。さらに、健康的なあゆに育てるため、梅酢を混ぜている。あゆの習性を知り尽くした岩出さんは、すべり台であゆ特有の縄張り争いを防いでいる。大きさの違う3つの出口があり、すべり台で大きさごとに振り分けられる。最後に行うのが氷締め。氷水を飲ませることで、あゆを締める。内蔵までしっかり冷やすことで鮮度を保つことができる。清流でのハードな運動や、特製のエサのおかげで、和歌山の養殖あゆは天然物の特徴であるスイカのような香りや、追い星の鮮やかな模様も生み出すまでになった。おすすめの食べ方は、養殖ならではの刺身。