ハンタウイルスの集団感染が疑われているクルーズ船は先月1日にアルゼンチンを出発、乗客乗員合わせて約150人でうち日本人が1人含まれている。スイスに帰国した1人を含めてこれまで8人に感染の疑いがあり、そのうち3人からハンタウイルスの陽性が確認された。陽性者1人を含む男女3人が死亡したという。感染の疑いがある人は船から搬送されオランダなどで検査や治療を受ける予定。クルーズ船はアフリカの島国カボベルデの沖合に停泊していたが、現在はスペイン領カナリア諸島に向かっており、今後乗客の検査や治療が行われる。厚生労働省によるとハンタウイルスとは主にネズミなどが持っているウイルスで、ネズミの排せつ物に汚染された水などを摂取するなどで感染する。潜伏期間は1~5週間、症状は発熱・せき・嘔吐・下痢などで、症状が進行し重症化した場合には呼吸不全を起こして死亡することもある。特効薬も承認ワクチンもない。日本では1960年代に119人が発症し2人が死亡している。また1970年~80年代にかけても127人が発症し1人が死亡している。1999年以降感染報告はない。WHOによるとハンタウイルスは大きく2つの型があり、1つはアジア・ヨーロッパ型で腎臓の障害や出血熱を引き起こす可能性があり致死率は1~15%未満。もう1つは南北アメリカ大陸型で肺や心臓の炎症、呼吸器疾患を引き起こす可能性があり致死率は最大50%となっている。アジア・ヨーロッパ型はヒトからヒトへの感染は確認されていない。南北アメリカ大陸型ではアンデス株にてヒトからヒトへの感染があり、今回のクルーズ船感染者からアンデス株が確認されている。アンデス株は濃厚接触した際に飛沫などから感染する可能性が考えられるが空気感染はしないのでヒトからヒトへの感染は非常にまれとされる。新型コロナウイルスとの比較。ハンタウイルスは感染率が低いことから変異株が生まれたとしても広がることは考えにくいという。厚生労働省は国内での感染拡大の可能性は低いとしており、その理由として日本にウイルス保有のネズミが生息していないこと、過去のアンデス株の感染事例においても適切な対応で感染を抑制できたことなどがある。寺島毅医師は、手洗い・マスク・アルコール消毒が有効だとしている。
