作家の山中恒さん。自分の考えを持って、大人と向き合う小学生の主人公を描いた「あばれはっちゃく」など、子供向けの著作を数多く執筆し、国内外で人気を集めた。「考えることの大切さ」その思いの原点となった体験が記された手記の全文が今回初めて公開された。戦争から平和へと題された手記。戦中から戦後にかけて体験したことや、その時の心情が時系列で綴られている。軍国教育を信じて疑わなかったという山中さん。戦中の部分には、アメリカの軍隊は強いそうだと言った知り合いに対し、カッとなって、「うるさい、黙れ、国賊」と怒鳴ったと記している。戦後の部分では、社会が激変する中で、「僕はもう何がなんだかわからなくなった。戦争が終わると行くべき道を失った」と戸惑いの気持ちを綴っている。次女の山中未穂さん。この手記を読むのは初めて。山中さんの自宅には、戦中・戦後の資料計約3万点が残されている。戦時下の学校で使われていた教科書や、校長による生徒への講話の資料など。専門家は、山中さんが自分の記憶だけではなく、多くの記録を元に自ら考えることの大切さを訴えようとしたと分析している。
