東京メトロが株式を上場。日中は売り出し価格よりも高い水準で取り引きされ、時価総額は1兆円を超えた。東京メトロの前身は営団地下鉄で、国や東京都が直接経営してきた。完全民営化を目指して2004年に株式会社となったが、国と都が株式を保有し、経営に関与する形が続いた。株式の売却時期を巡って議論が続けられる中、国の審議会は2021年、東京メトロが進めてきた2つの路線の延伸計画を支援すべきとして、当面、国と都で合わせて半分の株式を保有することが適切だとする答申を示した。こうした答申に従う形で、今回、株式の売り出しは半分にとどめ、国と都が経営への関与を続ける形となった。今回の上場で売り出される株式のうち、国の保有分の売却収入は東日本大震災の復興財源に充てられる。東京都の保有分の売却収入は今後、どのように使うかを検討するという。売り上げの約9割を鉄道事業が占め今後、どのような成長戦略を示すのか問われている。課題の一つが、経営の多角化。会社は、利用者の多い渋谷駅や原宿駅などの近くに他社と共同で商業ビルを開発するなど、不動産事業などの強化を始めている。