来年、年金制度改革が実施される。最大の焦点は、国民年金の底上げ。国民年金は、国民全体が加入する年金のことで、会社員は厚生年金にも入っている。現役世代の平均手取り額に対する65歳以上が受け取る年金額の割合は、今年度61.2%。経済成長が鈍いと仮定すると、2057年度には50.4%になるとみられている。厚生年金は0.1ポイントしか下がっておらず、国民年金は10.7ポイント減っている。年金には、現役世代の負担が増えすぎないように、人口減少や平均寿命の伸びに応じて給付を抑える仕組みがある。厚生年金では、2026年度までこの仕組みが行われ、国民年金では、2057年度までこの仕組みが実施される予定で、給付水準の低下がより長くなると懸念される。現在検討されているのは、厚生年金も国民年金も2036年度まで給付を抑える仕組みを行う案。厚生労働省は、厚生年金の積立金を一部国民年金に回すかたちで、給付水準の底上げを図る方針だ。積立金は、年金保険料の中に含まれていて、国内外の株式などに運用されている。2001年度から始まった運用の累積収益額は約154兆円。専門家は、会社員が支払っている厚生年金から、会社員ではない人々などにあてられていくため、会社員などの理解を得るのは難しいとしている。厚労省は、来年の通常国会に出す年金改革関連法案で今回の方針を盛り込むという。