韓国で行われた4年に1度の総選挙で、最大野党の共に民主党が系列の政党を含めて175議席を獲得し、圧勝を収めた。今回の選挙は国会議員を選ぶだけでなく、ユン・ソンニョル政権の中間評価とも位置づけられていた。大統領は国会で可決された法案を大統領権限で拒否したり、人事を強行するなどし、野党陣営は「独善的」などと批判。スーパーマーケットを視察した際、大統領は値引きされた長ネギを手にとって「合理的な価格」と発言したが、「物価高に悩まされる国民の生活を理解していない」と反発を受けた。今回の選挙でユン政権の求心力低下は避けられず、厳しい政権運営が強いられることが予想される。
ユン大統領は日韓関係の改善に注力し、北朝鮮に対しては力による平和を掲げる。野党陣営は福島第一原発の処理水を汚染水と呼び、徴用をめぐる問題で政府の対応を批判。また、今回の選挙では知日派の議員が落選し、日韓関係にとっては痛手といえる。大統領の決断で決着したはずの問題が振り出しに戻る可能性もあるという。日本政府には今回の選挙結果を冷静に受け止め、大局を見据え、揺るぎない日韓関係を築くための外交手腕が望まれる。