ボクシング元世界王者・重岡優大さんは今年2月に熊本市内で新しくカフェを始めた。優大さんは去年の夏までプロボクサーだったが、弟の銀次朗さんもプロボクサー。兄弟揃って元世界王者だ。2人は幼少期から空手をはじめ、その後ボクシングに転向。毎日の厳しいトレーニングを2人で乗り越えてきた。2人は高校時代には何度も日本一に、プロになってからは世界を舞台に活躍する。2023年には兄弟そろって世界チャンピオンとなった。しかし去年5月、弟・銀次朗さんに命に関わる出来事があった。一度王座から陥落した銀次朗さんが挑戦者として臨んだ世界タイトルマッチでは12ラウンドの激しい闘いのあと判定で敗れる。銀次朗さんは試合後に意識レベルが低下。「急性硬膜下血腫」と診断された。なんとか一命をとりとめたものの後遺症が残った。兄の優大さんは引退し、毎日15分の面会時間に声をかけ続けた。優大さんは銀次朗さんの第二の人生のために“みんなが銀に会える場所”を作りたいと考えた。銀次朗さんとボクシングを愛する人達が集うカフェの開業だ。優大さんはいずれ兄弟一緒に働けるようなカフェを考えている。左半身を動かすことが難しい銀次朗さんのために右手で操作しやすい場所にコーヒー豆の焙煎機を設置することにした。銀次朗さんの退院を前にカフェのオープンにこぎつけた。3月、優大さんは銀次朗さんが退院したその日のうちにお店に招いた。口にできるものを少しずつ増やしていっている銀次朗さんのためにとろみをつけてドリンクを作った。優大さんは応援してくれる人たちと銀次朗さんがつながっていられる場所にしたいと考えている。2人ともカフェには現役のころからよく行っていたそう。特に優大さんはプロボクサーとしての下積み時代にアルバイトでコーヒー豆焙煎の技術を学んでいたそう。そして現役のころからいずれ年齢を重ねて引退したあとには熊本でカフェを開くのが夢だったと話していた。優大さんは引退について現実的に銀次朗さんのサポートが必要ということが大きな理由ではあるが、事故のあとに競技を続けていても応援してくれる人を不安にさせるのではないかと思いこの決断にいたったんだそう。これからはボクシング競技の安全性を高めるために働きかけていきたいとも話していた。カフェはオープンから約3か月、すでに常連のお客さんもいる。小中学校や高校の同級生なども多く訪れていて、カフェを開かなければ会えなかったと優大さんは再会を喜んでいる。そして今月上旬にはお店で初めてのイベントを開催し、常連のお客さんやボクシングファンが集まり銀次朗さんを囲んだ。銀次朗さんはこれからも体調を見ながら少しずつお店に顔を出す予定だという。
